自衛隊体験記

導入

そう、それは4月のある日のこと。

かくして私たちは様々な思いを秘め、自衛隊体験に参加することとなった。

体験概要

この体験は、

自衛隊での訓練体験や隊員との交流を通じて、ありのままの自衛隊を体験する

ことを主旨としたもので、駐屯地に一泊二日滞在し、実際に装備を着用するなどの体験を行うものだ。
年度によって異なるが、航空自衛隊、海上自衛隊、陸上自衛隊の活動が体験出来る。今回は様々な年代の女性が参加することもあり、負荷が高過ぎないものの自衛隊の活動を体験できる、ということで陸上自衛隊 東部方面衛生隊がある朝霞駐屯地に滞在することとなった。

2023年度「女性のための自衛隊体験」の記録

参加者概要

今回の体験に参加したのは、以下の2名だ。

  • turu-kame
    • 年齢:24
    • 業務:Webアプリケーション診断
    • なぜ参加したか:セミナーなどの参加者の中に防衛省や自衛隊のかたがいらっしゃるので、お客様理解に繋がるかと思ったため。本音は一時期進路として希望していたこともあり、これ幸いと参加申し込みをした
    • 体力:元運動部だが、ここ数年引きこもっていたため皆無
  • takemoto
    • 年齢:27
    • 業務:製品サポート、自社サービスのインフラ運用など
    • なぜ参加したか:予備自衛官(サイバー)に関心があったため
    • 体力: 学生時代は美術部で体力は全く自信なし

体験内容

それでは早速体験内容を時系列ごとに振り返りつつ、紹介していく。

09:00~09:30 移動

マイクロバスで駐屯地まで移動🚌💨
移動したのち、注意事項の説明を受ける。

10:20~11:00 被服交付

外来宿舎の部屋に入ると二段ベッドが並んでおり、被服の入ったカゴが用意されていた。

11:00~12:00 着替え、ベットメイク等

迷彩柄の作業服上下、Tシャツ(ODシャツ)、半長靴、雨衣(あまい)、帽子、軍手が支給され、それに着替える。実際に着用してみた着心地は、作業服はジーンズ生地のジャケットとジーパン、半長靴は編み上げのスノーブーツに近く感じた。身を守る事を考慮された作業着はあまり涼しいとは言えず、蒸れて暑い上に肌触りがごわごわして感じる。更にズボンのすそを半長靴の中に入れ込むため、布地で厚くなっている部分がむくみ、時間がたつにつれて痛みがでた。徐々に靴擦れも起こり……と、デバフが追加されていき、慣れない半長靴に私達は涙目だった。

12:00~13:00 食事、休憩

列を作って行進で食堂まで移動。
駐屯地の敷地がかなり広いため、移動に5分ほど掛かる。班長のきびきびした掛け声の中、慣れない靴の重みと作業服の厚みで汗を滲ませながら到着する。
昼食はカツカレーだと入り口に書いてあった。
席に付き、夢中でパクパクと大方食べてから、写真を撮り忘れていた事に気がついた。班長に確認したところ写真を撮っても構わないとのことだったので、次回から忘れずに撮ろうと決意を固めて食事を終えた。

13:10~16:15 基本教練、個人防護服(PPE)試着

基本教練

再び列を作り、今度は衛生隊隊舎へ移動。
ここではまず集団行動と敬礼の基礎を教わった。
気を付け、休めといった比較的簡単なことでも、足の開き方など指先やつま先まで意識する必要があった。また右向け右などの方向転換では、重心の移動がうまくいかず、何度も練習していた結果、芝生がえぐれてクレーターが出来上がってしまった。

続く敬礼では、敬礼時に手が反ってしまったり、帽子のつばに指が当たってしまい、帽子がずれるなどした。隊員のかたも何かしら癖があり、教育隊の時に鏡を見ながら修正を行ったそうだ。

個人防護服試着

続いて個人防護服の試着を行った。この防護服は昨今の鳥インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など感染症が発生している場所で任務にあたる際に着用するものである。
写真では少しわかりづらいが、防護服、大きめのゴム手袋、小さめのゴム手袋、ゴーグル、N95マスク、靴のカバーが1つのセットとして封入されていた。
感染症は空気だけでなく、粘膜・皮膚からも感染するものが存在するそう。そのため、全身を防護服やゴーグルで露出をなくすそうだ。

当日は雨が降っていたこともあって湿度が高く、ゴム手袋の装着に少々手間取る。湿気と戦いつつ、前髪がはみ出ないよう着用し終えると、暑い。ひたすら暑い上に、ものの5分程度でゴーグルがぼやけるくらいに蒸れる。これを着て1日看護やその他任務にあたると考えると、冬はまだしも夏はかなりの地獄であると感じた。

また防護服を脱ぐ際には汚染度の高いマスク、ゴーグル、外側のゴム手袋といった順番で外すそうだ。

16:15~17:00 隊員との懇談

班ごとに椅子を並べて、ローテーションで隊員の方と衛生隊長のお話を聞くことが出来た。
衛生隊長に直接質問出来る機会はとても珍しいと思う。これまでのキャリアや学んできたこと、何を意識してお仕事されているのかなど、衛生隊長の人生についてあれこれ質問をさせていただいた。

17:00~17:15 終礼、移動

食堂に向かうため、再度、整列・行進で移動。

17:30~19:45 食事、入浴、休憩


ジャージに着替えて、靴も運動靴に履き替える。体が軽く感じた。
またこのとき長ズボンでないといけないと知り、自衛隊の身だしなみに対する意識の高さを実感した。

19:45~21:00 意見交換会

飲み物2本を受け取り、名前の書かれた席に移動。
私はアルコールに強くないためジュースにしたが、事前アンケートで希望すればアルコールも飲めるラフなスタイルの立食懇親会だった。

一人ひとり、みんなの前に立って所感や参加した理由などを言って自己紹介を行った。
正直一日酷使した足の裏が悲鳴をあげていたが、会話自体は楽しかった。特に自衛官幹部の経歴について聞く機会は珍しい。皆さん親しみを持って接してくださり、生活体験生達は自衛官の仕事について質問を行っていた。

21:00~22:00 就寝準備(自由時間)

翌日に向けて荷物整理を行い、いつもより早い就寝準備を行う。
ちょうど多めに持っていたので湿布を同室者と分け合い、足の疲れを癒やす。

22:00~06:00 就寝(22時就寝、6時起床)

疲労困憊過ぎて泥のように眠る。(˘ω˘ [__]スヤァ…
22:00に就寝のラッパが鳴っていたらしい。

1日目の感想

06:15~07:30 朝食、洗面

なんとか起床のラッパより先に起きる事が出来た。「自衛官は起床のラッパの音がトラウマになる」という話を聞いた事があったが、想定していたよりも小さな音だった。
既にきっちり着替えている隊員の方が「未使用の布団を見て寝具を片付けるように」と指示に来られたので、また同室者と2人ペアになり寝具を畳んだ。
それから着替えていると、朝食を隊員の方が部屋に持ってきてくださった。

パン2個と牛乳1本。自衛隊はよく牛乳を飲むのだなという感想を抱いた。ディズニーの柄がかわいらしかった。
食後、畳んだ寝具の様子を見に来た隊員の指導を受けながらやり直しを行った。寝具の畳み方で悩んだのは小学校の校外学習以来だ。やり直しても折り目からはみ出てしまったシーツの端を横目に、どこに行っても器用さが求められるのだなと少し苦い気持ちになった。
ちなみに新隊員教育時には5分で片付けと着替えまで済ましていたそう(!?)

07:30~08:15 荷物整理、移動

帰り支度も行い、廊下で班長を待つ。揃ったら、班ごとに階下に降り、更に整列。

08:20~08:30 朝礼

靴擦れを気にしていたところ、隊員の方に気にかけていただき、絆創膏を持ってきてもらう。

08:30~12:00 装備品展示、一次救命措置訓練、ライフハック術、担架搬送訓練

装備品展示

装備品展示では手術車や手術準備車の見学を行った。

手術準備車

手術準備車では手を洗いやレントゲンの現像、血液検査ができるほか、酸素ボンベの備蓄が置いてあった。
また、下の写真に写っている手術準備車の隣にあるものは軽油で発電する発電機で、家屋一軒分の電気を発電できるそうだ。

手術準備車外観と発電機

手術車

手術車は名前の通り、実際に一通り応急的な手術を行うことができる車両だ。
レントゲンの撮影ができるほか、空から見つからないようにするために屋内を最小限の照明に切り替えることができるそうだ。実際に暗くして赤い電球だけが点灯している状態を見せてもらったが、突然音楽が流れてディスコと化した。サビに差し掛かったところで筋肉スーツを着た隊員のかたが飛び起きて、茶目っ気あるなぁーっと思いつつ、驚きすぎて若干涙目になったことはここだけの秘密だ。


一次救命処置訓練

一次救命処置訓練では、人形を心肺停止患者と見立てて、自分が第一発見者となったときの動きについて訓練を受けた。ここでは傍観者効果で協力者が居なくなることを想定し、一人ひとりに「119番通報」、「追加の応援要請」、「AEDの確保」の指示を出しながら訓練した。「追加の応援要請」の必要性については、救命活動を行う際の冤罪防止や、医療従事者の応援を望むためだそうだ。
実際に100BPMぐらいのテンポで心臓マッサージを行いつつ、適宜人工呼吸を実施していると、次は何を指示すればよいかなど、他のことに気が回らないこと、救急隊が到着するまで一人で心臓マッサージをし続けるのは気が遠くなることを実感した。

ライフハック術

ライフハック術ではシーツと棒だけで担架を作成する方法や、真水を得るには?といったサバイバル術についても触れた。もしもの時に役立つかと思うので、少し紹介する。

布しかない時の自作担架

まずシーツや毛布だけで担架を作るには短辺と並行になるよう中央に負傷者を寝かせ、両端をくるくると丸める。ただこれだけで人ひとりを運べる担架の完成だ。なおこの時、なるべく負傷者の体に密着するくらい丸めると、より安定感のある担架が仕上がる。

棒があるときの自作担架

続いてシーツや毛布の他に、2m前後の棒を入手できた時の担架方法を紹介する。
まず2mほどの棒を布の1/3+aの位置におき、1/3+aの布を折り曲げる。続いて棒を1/3の位置に置き、余った布を折り曲げる。なんとこれだけで担架は完成する。この時1つコツがあり、最初に折り曲げる布は全体の1/3より長くすることだ。これにより、もう一本の棒に対する摩擦が増え、人が乗ってもずり落ちにくくなるそうだ。
なお災害時に実践する場面が出てきて棒を調達するとき、がれきから棒をむやみに引き抜くと思わぬ二次災害が発生しうるため、注意深く調達すること

そして実際に自作担架に乗ってみたときの写真が以下だ。
ご覧の通り急ごしらえだとしても、女性一人を持ち上げられるくらいにはしっかりとしている。

水の調達について

水の調達方法では、よくある蒸留によるものではなく、葉の蒸散によって集める方法について教わった。
これは木の葉っぱの部分にビニール袋をかぶせて軽く縛るだけ、というものだ。実際に一日かぶせてあったものを見せてもらったが、ティースプーン一杯分ほどの水しか集まってなく、如何に普段から水を常備しておく必要があるか改めて考えさせられた。

担架搬送訓練

担架搬送訓練では、実際に自衛隊で使用される担架に成人男性の体格・体重をした人形を乗せて搬送を体験した。
搬送は4人で行った。この時隊長は、負傷者の頭側かつ右に位置取り、班員に掛け声を行うほか、負傷者の顔色などを適宜確認するそうだ。また搬送時の進行方向は足からで、これは担架上の負傷者の不安を少しでも取り除くこと、搬送時に進行方向で災害等が発生した際に、頭ではなく足側から負傷することで、救命率を上げることにもつながるそうだ。

そして担架の重さは6kg程あり、更に70kgの人形が乗っているだけあって、女性4人でもふらふらであった。間に2名の隊員のかたに入っていただき、ようやく搬送できる状態であった。しかしながら時として隊員2名で搬送するとのことで、改めて隊員のかたの強靭さと自身の筋力不足を痛感した。

12:00~13:00 食事、売店

以上で訓練等は一通り完了し、駐屯地における最後の食事の時間となったため、ここぞとばかりに班長へ質問攻めを行う。
特に質問したのは教育隊でのことだったかと思う。

食事を終えた班から売店に行ける事になっていたのだが、談笑しつつツルツル滑る酢豚と格闘していた結果、売店を見る時間が驚くほど少なくなってしまったため、社内へのお土産を買うのは広報センターに変更した。

13:00~14:00 広報センター見学

広報センターではVR体験や、様々な装備を試着してみるなどした。
VR体験では、自由降下訓練で効果する隊員の視点や戦車に搭乗した視点で訓練を垣間見ることができた。降下する際の映像は、実際に降下しているわけではないのに重力を感じたり、心臓がキュッとなる感じがした。
装備の試着では背嚢を背負ってみることができた。重さは約20kg程であり、これに加えて他の装備があることを考えると、気が遠くなった。


また上の写真のとおり、補給物資用のパラシュートや偵察用バイクなど、様々な展示がされていた。

14:00~14:15 アンケート記入

アンケートが2枚配られる。ガリガリと沢山書いた。

14:15~15:30 外来清掃、身辺整理、被服返納

部屋、トイレ、洗面所を協力して清掃した。
被服返納で畳み方等で混乱が発生したが、周りを見渡しても皆混乱していたので少しホッとする。
返納時にご褒美の自衛隊ステッカーをもらえた。嬉しい。

15:30~15:45 移動

最後に私服のまま整列し、挨拶が行われた。
マイクロバスに乗り込み、振り返ると、お世話になった自衛官の方々が手を振っていた。

15:45 解散

和光市駅で降りて名札を返し、そのまま散り散りになった。
お世話になった同じ班の人に挨拶をして、また何処かのイベントで会えたらいいですね!と言っていただいた。自衛隊のイベントは色々あるらしい。

二日目の感想

自衛隊の方に聞いてみた!Q&A

  • Q. なんで時間をそんなにもきっちり意識するんですか?
    • A. 災害派遣の時のように千人単位で任務にあたることがあります。少し遅れればそれだけの人数に影響があり、任務遂行が困難となる可能性があるため、時間には厳しく動いています。
  • Q. 靴のつま先がピッカピカですが、どうしてですか?
    • A. 品位や状態を保つために磨いていていたらピッカピカになりました。クリームを複数種類使い分けてていたり、コットンやストッキングを用いて磨いたりと人によってこだわりがあります。
  • Q. 洗濯や靴磨きはいつしているんですか?
    • A. 終礼後~消灯時間の間に全てやっています。慣れれば一時間くらいで終わらせることができるようになります。
  • Q. 作業服にアイロンがけをするのは毎日ですか?
    • A. 毎日上記の洗濯等を行う時間にしています。コードレス・コードあり、アイロン台なしでアイロンがけができるもの...など、アイロンにも各自こだわりや好みがあります。
  • Q. 作業服の後ろにあるわっかの用途は何ですか?
    • A. 訓練時にカモフラージュのため、草とかを差し込みます。隊員歴の長いかたはとてもカモフラージュの仕方が上手いです。
  • Q. どうして「担架」を「たんが」と呼ぶんですか?
    • A. 諸説あるが、短歌や短靴と間違えないためです。
  • Q. 元々体力があったんですか?
    • A. 実はそんなになかったです。入隊後、日々訓練を行っていくうちに体力が付き、腕立て伏せもできるようになりました。

おまけのQ&A

  • Q. 内容的にあまり疲れなさそうなのに、どうして疲労困憊になったの?
    • A. そんな疑問を持った君は、上で例示したデニムのジャケット&ズボン&スノーブーツを着用し、炎天下の中、110BPMの曲に合わせてビートを刻みながら実際に歩いてみよう!やってみるとわかるが、びっくりするぐらいしんどくなるはずだ。

体験を通じた感想

こうして私たちは本体験の目的にしていた「お客様への理解を深めること」を無事達成しました!
いかがでしたでしょうか?
今回の体験記で自衛隊のお仕事に興味を持たれた方……!
サイバーディフェンス研究所では、防衛省自衛隊のお客様にもご好評のトレーニング事業調査研究・コンサルティング事業ソリューション販売などを提供しており、これらの事業を一緒に盛り上げてくれるメンバーを募集しています!
セキュリティ業界で防衛省自衛隊のお客様向けにサービスを提供したい、一緒に盛り上げていきたいという思いがある方は是非この機会にご応募ください(∩´∀`)∩ワーイ

まとめ

改めて当社では、自衛隊のみならず、様々な機関・企業に対して高い倫理観と強い社会貢献意識に基づいたサービスを提供し、共にサイバースペースの脅威へ立ち向かい続けます。各種お問い合わせにつきましては、当社ホームページよりお問い合わせくださいませ。

おまけ

今回の体験ではTシャツやタンブラー、ライトなど豪華なノベルティを頂きました!なお猫の写っていないノベルティ一覧を撮影しようとしましたが、撮れませんでした🐈

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